世界の名建築シリーズ。
今回、ご紹介するのは、フィンランド出身の北欧近代建築の巨匠
「アルヴァ・アアルト」の自邸です。


アアルトの自邸は、ヘルシンキの中心地、少し外れた閑静な住宅地に位置します。
敷地は、とても広く、道路の反対側には、緑豊かな庭が広がっています。



モダニズム住宅(近代建築の住宅)として、建築史において、最もセンセーショナルだったのは、近代建築の三大巨匠による
ル・コルビュジェ サヴォア邸 1931年
フランク・ロイドライト 落水荘 1936年
ミース・ファン・デル・ローエ ファンズワース邸 1951年
でしょう。
※ミース・ファン・デル・ローエのトゥーゲントハット邸 1930年
けれども、アルヴァ・アアルトの「マイレア邸」こそが世界最高の住宅だという方は少なくありません。
そんな「マイレア邸」の先がけとして挙げられることも多いのが、この「アアルト自邸」です。






「アアルト自邸」は、1936年に設計されましたが、当時、すでにアルヴァ・アアルトは、モダニズム建築家として、世界中で有名でした。
同時代の建築家、三大巨匠やその他のモダニズム建築家による建築は、鉄やコンクリートによる構造的な技術進歩による自由度の高さを活かした建築(ガラスなどが多用される)が多いです。
まぁ日本みたいに柱と梁による木造の文化ではなく、組積造の文化ですからね。
鉄骨造・コンクリート造が生み出されるまでは、穴ぐらみたいな建築しかなかったのです。
大開口に固執するのは当然だと思います。よっぽど、目新しかったのでしょう。
けれども、アアルトの作風は、明らかに、そのような建築とは異なります。







「オリジナリティ・独自性を求めて、近代建築の別のあり方・方向性を実現させようとしたのだ」
という方もいらっしゃいます。
僕は、フィンランドという特異な風土・気候の中では、仕方がなかったのだと思います。
真冬は、-20度~-30度が当たり前の国です。
そんな国において、当時の技術力で、インターナショナルスタイル(全方位、全面ガラス)の建築など創ろうものなら、それは建築家による暴力でしょう。
別の方法論を見付けるしかないし、その方がフィンランドには間違いなく合っている。





デザイン・芸術は、限定された特異な条件の中でこそ、独自に進化し、発展するものなのでしょう。
真のオリジナリティは当たり前を突き詰めた先にこそある。
厳しくも、美しい自然と、どう向き合えば良いのか。
今もなお、アルヴァ・アアルトは教えてくれます。
フィンランド・ヘルシンキに行った際は、ぜひ、行ってみて下さい。
